パネラー発言要旨

青森県救助救護検討会

副会長 山上真一

 

「大規模震災時災害活動における災害救助犬・捜索犬の必要性について」

現在、日本各地で震災時の活動に関して様々な研究、講習会、検討会などが行われております。その内容はベーシックサーチと呼ばれる捜索活動、ショアリング、クリビングと呼ばれる倒壊建物を、それ以上の倒壊を防ぐ安定化技術、リフティング・ムービングと呼ばれる重量物移動技術、ブリーチングと呼ばれる要救助者の下へ進入するための開口部を作成する技術、CSR/Mと呼ばれる狭隘空間内の救助活動及び医療行為などです。この技術は医療行為以外、特別な資器材が必要なわけでなく身の回りにある物、例えばノコギリ、釘、金槌、バール、ハンマー、単管等を使用して一般の方々でも行える技術です。

なぜ、このような身の回りに在る道具で行える手技が広がりをみせているのかと言いますと、1つの要因に東日本大震災や阪神淡路大震災のような大規模震災時、必ず起こる「需要と供給の絶対的アンバランス」その中でも救助活動を可能な限り行うため、という事が挙げられます。物が足りない、人が足りない、何もかもが足りない。そのような場面でも助けを求める人は大勢いる。その助けを求める人を例え限られた資器材、人員であったとしても助けたい!そんな熱い気持ちを持った方々が先頭に立ち積極的に講習会を行なっております。

しかし、その技術を活かして活動するためには捜索によって要救助者を捜し出すことが大前提です。捜索に関しまして人間で行う場合6,7人程度が一組になり指揮者の下、一列に並ぶ、もしくは捜索範囲を囲むような体形で「誰かいませんか!?」と声を掛けながら行うわけですが、その時、人間の視覚、聴覚に反応する音等の合図を要救助者が発することが出来れば捜し出すこともできますが要救助者が様々な要因により、それを発することが出来ない場合、捜し出すことは困難となります。公的機関には、そのような人間の限界を補うために高度な資器材が導入されている部署もありますが、それも僅かな数でしかありません。公的機関の震災時活動の現状で捜索活動が弱い部分だと言っても過言ではないと思います。

そこを災害救助犬や捜索犬を育てられている団体と共に行えることは人命救助において非常に意義があるということで今、日本各地で行われている震災時の活動講習会等では災害救助犬や捜索犬を育てられている団体の方々にお越しいただいて捜索の様子を展示していただいたり、想定訓練の中において実際に捜索していただき、そこから公的機関の救助活動を行う連携訓練も行われております。

ただし、それは他県での話であり青森県の実情は少々違います。北東北捜索犬チームのように青森県、青森市と協定を締結されたとはいえ公的機関との連携訓練は僅かだと伺っております。災害現場において訓練されていない活動を行うことは非常にリスクが高くなります。せっかくの素晴らしい力を人命救助に活かすためには連携訓練を行わなければなりません。これから公的機関側は協定を締結したのであれば積極的に情報交換を行い、連携訓練を取り入れていくことが県民市民の皆様方への安全安心へと繋がっていくのではないでしょうか?