【体験報告】山中の行方不明者の捜索発見について(平川市)

事案

8月上旬、70代の認知症老人が早朝から行方不明となり、家族が捜索するも発見できず、夕方、警察に捜索を依頼したものです。

状況

翌日朝、警察署から警察犬の出動要請が有り、激しい雨の中、行方不明者の自宅付近で、警察官から状況説明を受け、捜索方法について協議しました。
警察官の話では、昨日夕方、行方不明者の自宅から10数km離れた山の中の小さな温泉で行方不明者に似た老人を見かけたとの情報があるとのことから、自宅ではなく、その温泉から捜索を開始することになりました。原臭は行方不明者の靴と着衣でした。

その温泉から約2km手前にある道路の分岐点で、犬(文太)が温泉方向に向かうか、捜索させたところ、間違いなく温泉方向へ向かって追跡しましたので、捜索をそこで中断し、車で温泉に向かいました。
温泉の建物前から捜索を開始したところ、道路わきの物置小屋の屋根方向に文太が強い反応を示しましたが、小屋の内部や屋根の上には誰も居ませんでした。この物置小屋の裏側は5~6mの深さの沢で、渓流となっていました。風の流れをチェックしたところ、沢からの上昇気流があることが分かりましたので、沢の中から行方不明者の臭いが流れて来ていると思いました。
沢の方向に文太を向けると、やはり著明な反応が有り、さらに文太は沢に沿った山道を進み出しました。この山道は整備されていないため木や草が生い茂り、人の歩行が困難でしたが文太はどんどん進みました。約200m進んだ付近に文太が立ち止まっていました。そこには草が倒れて、沢の下に人が滑り落ちたような痕跡がありました。

「誰かいますか!大丈夫ですか?」とその場で叫んでも応答がなく、沢を降りて確認するには危険であったため、同行の警察官と相談して、捜索を一時中断し、本署に連絡して捜索隊を編成し本格的に沢の中を捜索してもらうことになりました。

約1時間後、警察と消防の捜索隊がこの沢に入ったところ、木にしがみついていた行方不明者を発見し、無事保護したものです。

まとめ

雨が降る悪天候の捜索でしたが、犬を使った行方不明者の捜索は、「風を読む」ことが不可欠であり、さらに、目撃情報などの「情報収集」が極めて大切だと痛感しました。
(岩本良二)

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